家づくり

これから家を建てるなら必ずチェック!住宅の断熱性能で知っておくべきポイント

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これから家を建てるにあたり、断熱性能が気になっている人も多いのではないでしょうか?断熱性能にこだわった家を建てることで、快適で健康的な生活ができますし、お財布にも優しい暮らしができます。

この記事では、断熱性に優れた家を建てるために押さえておきたいポイントをご紹介します。

 

 

【ポイント1】断熱性能の指標

断熱性に優れた家を数値によって誰にでもわかりやすく評価するために、指標が定められました。それが断熱性能を示す「Q値」「UA値」、気密性能を示す「C値」という3つの値です。これらは住宅の断熱性能を判断するための重要な数値となり、国土交通省によって地域ごとに基準が定められています。

 

◎Q値

Q値とは、熱損失係数のことです。熱損失係数とは、室内外の温度差が1℃のときに延床面積1㎡あたりに逃げ出す熱量のことで、「熱量がどれくらい逃げにくい家なのか」がひと目でわかる指標となります。数値が小さいほど評価が高くなります。

 

Q値=建物から逃げる熱量/延べ床面積

 

Q値が小さい家=熱が逃げづらい家=冷暖房の効率が良く省エネ性能が高い家だということがわかります。しかし、住宅の形状や延べ床面積の大きさによって算出される値が低くなり、評価が高くなる場合もあるため、このQ値だけで断熱性を判断するのは危険です。

 

◎UA

UA値とは、外皮平均熱貫流率のことです。外皮平均熱貫流率とは、建物の中と外の温度を1度と仮定したときに、住宅の内部から外皮=屋根(天井)・外壁・床・開口部などを通過して、外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した数値となり、「熱量がどれくらい家の外に逃げやすいのか」がひと目でわかる数値です。こちらも数値が小さいほど評価が高くなります。

 

UA値=家全体から逃げる熱量/建物の外皮面積

※換気および漏気によって失われる熱量を含まない

 

Q値とUA値はともに断熱性能を表しますが、UA値はQ値のように住宅の形状や延べ床面積の大きさによっての数値にばらつきが出ないため、より正確な断熱性を表すことができます。

 

◎C値

C値とは、相当隙間面積のことです。住宅の気密性を表す数値で、隙間面積を延べ床面積で割って算出しています。「どれくらい家に隙間があるのか」を示していて、こちらも数値が小さいほど評価が高くなります。

 

C値=家全体の隙間面積の合計/延床面積

 

隙間が少ない家=高気密な家です。温度・湿度・気圧は高い方から低い方に流れますので、いかに断熱性能の高い建材を使っていたとしても、隙間が多い家ではどれだけ冷暖房を使っても快適な室温にはならず、光熱費ばかり高くなってしまいます。

 

 

【ポイント2】断熱等級

断熱性の高さを表す指標に「断熱等級」があります。断熱性能等級とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品格法)に規定された、省エネ性能を示す等級です。断熱等級は1~7の7段階あり、数字が大きいほど断熱性が高いことを示します。

日本ではこれまで断熱性能等級4が最高レベルでしたが、2022年4月に断熱性能等級5、10月に6と7が新設されました。2025年度以降は全ての新築住宅に断熱等級4以上が義務化され、これまで最高等級だった断熱等級4は実質、最低限のレベルになります。

そのため、新しい住宅を購入する場合だけではなく、中古住宅を購入しようとする場合にも確認することが求められます。2025年以降に断熱等級4以下の中古住宅を購入すると、リフォームなどで大きな制約が生まれてしまうため、注意しましょう。

 

断熱等級は「UA値」と「ηAC値」の2つの数値で決定されます。

UA値が小さいほど住宅の断熱性は高まるため、断熱等級も上がります。

ηAC値は「冷房期の平均日射熱取得率」のことで、太陽からの日射熱の室内への入りやすさを示す指標です。住宅の外皮を通って室内に侵入した日射熱の量を、外皮の単位面積当たりで算出した値のため、値が大きいほど熱が入りやすいことを表します。つまりηAC値が小さいほど遮熱性能が高まり、夏季の一次エネルギー消費量を削減できます。

 

日本は地域ごとに気候が大きく異なるため、日本全体を8つの地域に区分して、地域1~8の基準となる断熱性能を定めています。これを「地域区分」と呼び、地域1が北海道の中でも特に寒いエリア、地域8は沖縄県や鹿児島県の一部などの特に暖かいエリアです。

地域ごとの気候差を考慮して定められた「地域区分」によって達成すべきUA値とηAC値の基準値が異なります。

 

 

断熱性能が高い家にするための工夫

◎断熱性の高い窓や玄関扉を使用する

家の中で熱の出入りがもっとも大きいのが窓をはじめとした開口部です。そのため、窓や玄関扉を断熱性が高いものにすると、断熱性能を向上させることができます。

 

◎壁・天井(屋根)・床に断熱材を入れる

外壁や屋根から入ってくる熱を断つことも重要です。壁・天井(屋根)・床に断熱材を入れて対策することで高い断熱効果を期待できます。

 

 

断熱性能にこだわった住まいは、快適で健康的、そしてお財布にもやさしい暮らしを実現してくれます。

ただし、断熱性能にこだわるほど価格にも反映されますので、無理のない資金計画で最適なものを選びましょう。