近年、屋根裏エアコンが注目を集めています。主に夏場に使用するエアコンですが、設置方法によって上手く効果を発揮できない可能性があります。
そこで、この記事では、屋根裏エアコンで失敗しないためのポイントをご紹介します。
◆屋根裏エアコンとは
屋根裏エアコンとは、屋根裏のスペースにエアコンを設置して、ダクトもしくは天井に設けた給気口から、冷えた空気を各室へ送る仕組みです。
夏の場合、太陽の熱は屋根から屋根裏を通じ、屋内に伝わろうとします。また、「暖気は上に、冷気は下に溜まりやすい性質」があるため、2階建ての家で1階のLDKをいくら冷やしても冷気は下に溜まる一方で2階は冷えません。
そこで、屋根裏スペースの空気を調節することで、室温が外気温に左右されにくくなり、家全体を適温に保ちやすくなります。
要所にファンを設置すれば、より効率的に空調することもできます。空気が冷えると下に降りる性質を利用しているため、一台で家全体を涼しくできます。
◆屋根裏エアコンのメリット
屋根裏エアコンには、下記のようなメリットがあります。
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省エネ効果の向上
適切な断熱対策を行うことで、エアコンの効率が上がり、エネルギー消費を削減できます。特に、屋根裏を適切に断熱することで、夏の暑さや冬の寒さを効果的に遮断し、エアコンの負荷を軽減できます。また、天井全体から温度調節するので、温度差が少なくなります。
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空間を有効活用できる
屋根裏のスペースをエアコンの設置に利用することで、居住スペースや床面積を節約できます。特に、小さな家や部屋のスペースを有効活用したい場合に役立ちます。
また、壁や床にスペースがなくてもエアコンを導入できるというメリットがあります。また、配管の設置も容易になり、エアコンの性能を最大限に活用できます。
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風が直接当たらない
ルームエアコンのように風が直接当たらないので快適です。また、屋根裏にエアコンを設置することで、室内に比べて音が軽減されるため、エアコンの動作音が気になりにくくなります。特に静かな環境を好む方にとっては大きなメリットです。
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複数の部屋の空調管理が容易
屋根裏にエアコンを設置する場合、ダクトを利用して複数の部屋に冷暖房を供給することが可能です。一つのエアコンで家全体の空調を調整しやすくなるため、効率的な温度管理が可能になります。
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デザインを損ねない
エアコンの室内機を屋根裏に設置することで、リビングルームや寝室などのインテリアがすっきりし、より美しい見た目を保つことができます。見た目にエアコンが露出しないため、部屋のデザインが損なわれません。
室外機や配管も目立たないので、外観デザインを損なわず、狭小地でもスペースを圧迫することがありません。
◆屋根裏エアコンで失敗しやすいポイント
屋根裏エアコンで失敗してしまう理由には、主に下記の3つがあげられます。
①屋根断熱が不十分
エアコンの効率は、その家の断熱性や気密性に大きく左右されます。小屋裏のスペースに設置する屋根裏エアコンは、屋根からの外気温の影響を受けやすく、断熱・気密が弱い環境ではエアコンの冷気が逃げてしまいます。屋根は一番熱を受ける場所なので、十分な屋根断熱が必要です。そのため、屋根裏エアコンを採用する際は、高断熱・高気密住宅であることが必要条件といえます。
②日射遮蔽が不十分
屋根裏エアコンが効きづらい場合、屋根や窓から受ける太陽の日射熱が室内に入っている場合もあります。これだと、なかなか室温を下げられません。そのため、断熱材付きの屋根材や遮熱効果のある窓を採用する、軒や庇を設置するなど、日射熱対策が必要です。
③リターン開口が不適切
屋根裏エアコンは暖かい空気を小屋裏で冷たい空気に変えて、冷えた空気をファンで各部屋に送り込むことで、家全体を冷房する仕組みです。そのため、継続的に小屋裏へ家の中の冷えていない空気を送り込まなくてはいけません。
そこで、小屋裏空間の一部に開口部を設け、暖かい空気を小屋裏へ流れる道を作る必要があります。そのための開口部が「リターン開口」で、リターン開口が小さい・狭い・場所が悪いなど、適切なリターン開口を設置できなければ、屋根裏エアコンが効きづらくなります。
◆屋根裏エアコン設置の注意点
屋根裏エアコンを設置する際は、下記のポイントに注意しましょう。
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室温が下がるまで時間がかかる
小屋裏の空気を冷やしてそれを各室に運ぶため、どうしても室温が下がるまで時間がかかります。ただし、高断熱高気密住宅においては、急激に室温が上がる可能性は低いため、住宅性能が十分であれば、あまり気になりません。
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空気の流れを考慮する
2階建ての場合、屋根裏エアコンは、まず屋根の下部分である2階から冷やしていきます。2階部分が冷えたら、冷たくなった空気が自然に下に降りて、1階部分も冷やされる仕組みです。そのため、2階から1階へと冷たい空気がスムーズに降りなければ、1階は充分に涼しくなりません。
階段が廊下や玄関に向かっている間取りであれば、居室よりも廊下や玄関が冷えやすくなるため、リビングやダイニングなどの居室に冷たい空気が流れるように計画する必要があります。また、吹き抜けを設ける場合は、吹き抜けの直下にリビングやダイニングを配置しましょう。
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ダクト内の結露でカビが発生する可能性がある
ダクトから各部屋に冷気を送る場合、ダクト内にホコリが溜まります。そこに結露が発生すれば、カビの発生や不快な臭いの原因になることも。
暑い日には一日中稼働し続けることで、常にダクト内の空気が動き、湿度が下がるため、カビが生えにくくなります。
屋根裏エアコンは環境にも家計にも人にも優しい空調方法です。
設置を検討する場合は、ここでご紹介した特徴や注意点をよく理解した上で、実績のある会社に相談してみましょう。