その他

構造計算って何?木造住宅では必要なの?

Pocket
LINEで送る

みなさんがマイホームを建てるときに大切にしていることは何でしょうか?資金計画や間取り、デザインなどを重要視している方は多いかと思いますが、これらと同じくらい大切なのが構造についてです。今回は構造計算とはいったい何なのかという概要から、構造計算の方法など細かい部分まで解説していきますので、マイホームづくりの参考にされてください。

構造計算とは

構造計算とは簡単にいうと「建物の安全性を検討・確認するための計算」です。

 

建物には建物自体の重みのほかにも、地震力や風圧力などさまざまな力がかかります。さらに雪が降る地域であれば、屋根に積もった雪の重みも加わりますよね。

 

そういった力に対して「本当に耐えられるのか?」ということを、構造計算では確かめます。

 

建物の安全性を確かめる3つの方法

建物の安全性を確かめるには、構造計算以外にも実はさまざまな方法があります。大きく分けると「①壁量計算、②性能表示による壁量計算、③構造計算」の3種類です。

①壁量計算

壁量計算は「耐震壁の量は十分か?」を確認する、簡易的な方法です。

 

各階の床面積や建物の重さから、地震力や風圧力に対して必要な壁量を求めて、実際に設計した壁量が十分かどうかを確認します。

 

また壁が多くても、バランスが悪ければ建物は倒壊しやすくなります。そこで壁量のバランスがとれているかという点も確認します。

 

②性能表示による壁量計算

①の壁量計算は、建築基準法に基づくもの。これよりも高い耐震性を確認できるのが、品確法住宅性能表示に基づく壁量計算です。

 

耐震等級1〜3という等級判定を行えるのが大きな特徴で、耐震等級1だと建築基準法レベル。耐震等級2は建築基準法の1.25倍、耐震等級3は1.5倍の地震力に対して倒壊・崩壊しないことを示します。

 

たしかに建築基準法に比べると高い水準で安全性を確認できますが、あくまでも壁量計算のみなので注意が必要。骨組みまでは考慮されていない簡易計算なので、構造計算に比べると信頼性は低めです。

 

③構造計算

構造計算のなかにも「許容応力度計算・保有水平耐力計算・限界耐力計算」という3種類があり、戸建て住宅で一般的に使われるのが許容応力度計算。

 

耐力壁だけでなく、柱は梁の一つひとつにどんな力がかかって、各部材がその力に耐えられるかを詳細に調べる方法です。地盤や基礎の強さ、部材一つひとつや接合部の強さ、壁や床など面の強さ…といったようにさまざまな要素が検討されます。

 

壁量計算の資料はA3用紙1枚ほどに収まりますが、構造計算はA4用紙数百枚からなる分厚い冊子のような資料が残ります。

 

構造計算でも、もちろん耐震等級1〜3の数字がわかります。②の性能表示によって確認された耐震等級3に比べて、さらに信頼性の高い耐震等級3の表示が可能です。

 

構造計算をしない会社も多い

木造2階建て住宅では、建築士の資格をもった人が設計をすれば、構造計算はしなくてもよいというルールになっています。ただし建築基準法で定められている「仕様規定」という最低限の基準はクリアしなければなりません。

 

この最低限の仕様規定のなかに、先ほどご紹介した「壁量計算」が入っているのです。そのため住宅会社や工務店によっては、まったく構造計算をしていないという会社も少なくありません。

 

構造計算は必要なのか?不要なのか?

では仕様規定をクリアするだけで十分なのかというと、建物の耐力としては問題ありません。しかし建築基準法の仕様規定で保証されるのは、耐震等級では最も低い「耐震等級1」の耐力のみとなります。

 

みなさんの記憶にもまだ新しい熊本地震では、耐震等級1の建物の多くが全壊。さらに耐震等級2相当の建物でも、倒壊したという記録が残っています。

 

一方、熊本地震でも耐震等級3の建物は倒壊ゼロで、約9割が無被害。残りの1割も、問題なくそのまま住み続けられるような、軽微な損傷のみにとどまりました。

 

そんな熊本地震の被害を受けて、住宅関係者のなかで強く印象づけられたのが「耐震等級3は必要だ!」ということ。もはや耐震等級1や2では心もとない、という考え方が普及しました。

 

耐震等級3をとるには、壁量計算と構造計算の2つの方法があります。壁量計算はあくまでも簡易的に耐力壁の位置やバランスを見るだけなので、やはり時間とお金が許すのであれば構造計算による綿密な設計をおすすめします。

 

まとめ

地震の多い日本でマイホームを建てるなら、資金計画や間取りと同じくらい、建物の構造が大切です。大切な家族の命や家財を守るのはもちろん、大きな地震のあとも安心して住み続けられる家を建てましょう。

 

地震に強い家を建てるためには、耐震等級と構造計算の2つの指標が重要です。同じ耐震等級3でも「壁量計算なのか?構造計算なのか?」によって信頼性は大きく変わってきます。安心・安全な家づくりをするためにも、ぜひ工務店やハウスメーカーを選ぶときには「構造計算を実施しているか?」を確認しましょう。