建売住宅は注文住宅に比べてリーズナブルというイメージをお持ちの方は多いかもしれません。「安いもの=品質が悪い」といった否定的なイメージを抱きやすいため、大切なマイホームに建売住宅を選んでよいかどうか不安になる方もいるでしょう。
そこで、この記事では、建売住宅が安い理由と後悔しないためのポイントを詳しく解説します。
◆建売住宅が安い理由
建売住宅は注文住宅に比べて自分のこだわりや要望を反映しにくい一方、費用を抑えることで一軒家のマイホームを実現しやすいとされます。では、建売住宅が安いのはなぜなのでしょうか?
①土地の一括購入でコストを削減
建売住宅の場合、広い土地を一括で購入、区画分けした土地に建物を建築、販売します。広範囲の土地を購入することで、1棟あたりの土地の原価を安くおさえられます。造成するときも大型の機械を導入して効率的に区画分けができます。
さらに、土地と建物をセットで販売することで、土地でも建物でも利益が得られることで、販売単価を下げられるのです。
また、販売価格はそれぞれの会社の手数料や管理経費などが上乗せされた金額なので、別々に購入するよりも管理・事務コストや手数料を節約できる分だけ安い価格になっています。
②建材や設備の大量仕入れにより建物のコストを削減
建売住宅はデザインをパターン化しており、設備や建材に同じものを使用することがほとんどです。同じ規格の設備や建材を大量に仕入れることで仕入れにかかる費用を大幅に抑えています。注文住宅のように特注品を使うことはなく、標準サイズに合うように設計されることが多いので、追加費用がかかりにくく無駄なく建てられることも安い価格で販売できる理由です。
また、規格が同じものを使用していることから、設備・建材の運搬コストが抑えられる点や、施工業者の手間が省けて人件費が抑えられる点もメリットです。
③プランを限定することで設計のコストを削減
注文住宅ではオリジナルの間取りを作るため複雑になりやすく、構造や採光などを計算しながら時間をかけて設計を進めますが、建売住宅はシンプルな間取りで建てることが多く、設計の手間が少ないのが特徴です。また、ある程度プランを限定して同じ間取りの家を複数建築します。注文住宅のような打ち合わせも不要なので、設計にかかる人数や手間を注文住宅建築より大幅に減らせるのです。
④施工のコスト削減で安い
建売住宅がなぜ安いのかを考えた際に、「手抜き工事をしているからでは…」と心配される方がいます。しかし、実際は施工の過程を効率化した企業努力の結果です。
建売住宅は、複数棟まとめて建てることが多く、1人の現場監督や職人が複数の現場を兼任することが一般的です。
仮設トイレや足場なども兼用できるため、個別に建てる注文住宅よりも人件費や資材のレンタル料の分だけ施工コストを削減できます。
また、間取りや使用する資材が決まっているため、職人が施工の段取りに慣れて短期間でスムーズに工事を進められる点も特徴です。
工期が短いほど費用も節約でき、注文住宅よりも安い価格で提供できます。
⑤販売のコスト削減で安い
注文住宅は、受注してから建物を建てるため、購入希望者は実物がない状態で契約しなければいけません。そのため、ほとんどの住宅会社は見本用のモデルハウスを用意しています。
モデルハウスを建てるには、実際の建物と同じぐらいの建築費がかかり、さらに展示中の電気・水道代などのランニングコストも発生します。
モデルハウス専任の担当者の人件費も必要であり、販売にかかる経費を回収するために住宅の販売価格をなかなか下げられません。しかし、建売住宅は販売する住宅そのものがモデルハウスの代わりになります。そのため、販売コストを大幅に削減できます。
◆建売住宅で後悔しないためのポイント
◎建物の施工不具合・品質をチェック
安い建売住宅を購入するときに最も多くの人が心配していることは、建物を建築するときに手抜き工事をされていないかどうかという点です。
建物の施工不具合の有無をチェックするホームインスペクション(住宅診断)の利用がおすすめです。ホームインスペクションとは、住宅診断士と呼ばれる専門家に建物の劣化状況を診断してもらうことです。
天井裏や床下などの細かい部分まで品質を確認もらえるため、なぜ安いのか心配する気持ちを解消したうえで住宅を購入できます。
◎追加費用の有無をチェック
必要なものがオプション工事になっていないか契約前に必ず確認してください。オプションになっているならば、それがいくらになるかも契約前に確認すべきです。契約後に予算オーバーとわかって必要なオプション工事を発注できないとなれば後悔することになるでしょう。現地へ内見に行ったときに質問しておきましょう。
◎地盤調査報告書をチェック
日本は全国どこでも軟弱地盤のリスクはありますから、どの物件であっても地盤の状況を把握しておきたいものです。
田畑や山林を転用して複数棟の建売住宅を供給している物件では、地盤調査報告書を提示してもらい、地盤の強度・地質について説明を受けるようにしましょう。地盤改良工事をしている場合、その改良工事の内容についても説明を受けるとよいでしょう。
◎未完成の建売住宅の引き渡しを受けない
未完成なのに引渡そうとするくらい工期の遅れがあるケースが多く、そういった物件は工事を急ぐことで雑な施工となっていることが少なくありません。実際に、完成後にホームインスペクション(住宅診断)に入ったところ、施工不具合が大量に発見された事例は何度もあります。
未完成の住宅については、引き渡しを受けないとはっきり拒否しましょう。
建売住宅は、性能や品質をしっかりとチェックした上で購入を進めましょう。