家の中にいるときに、誰もいないはずの場所から「バキッ」「ギシッ」というような音がすることがあります。心霊現象と間違えられたりするこの音の正体は「家鳴り」と呼ばれています。
こうした音は家の構造に限らず発生する可能性がありますが、家鳴りの原因を知ることで適切な対処ができます。
この記事では、家鳴りが起きる原因と対策について解説します。
◆家鳴りが起こる原因
家鳴りとは、木造住宅から聞こえる「ピキッ」「ギシッ」というような音のことです。家鳴りが起きる主な原因は下記のようなことがあげられます。
①気候の変化
木造住宅の場合、建材に木材を使っているため、湿度の変化による伸縮も通常の家より大きくなります。
木は湿度が低いと水分を出して縮みます。一方、湿度が高くなると水分を吸収して膨らみます。木が膨張したり伸縮したりする際に音が出るため、その音が家鳴りとして発生します。
特に冬場は空気が乾燥するために木材からも水分が失われやすく、固定された状態で無理に縮もうとすることから細かいひび割れが生じてピシッと音が鳴るのです。
②地盤への順応
人が気づかないレベルの小さな地震であっても、建物には影響があります。地震で地盤が変化した際、建物が地盤に順応するために柱や壁が少し動いて家鳴りとして発生します。 地盤への順応のための家鳴りは「ギギギ」という音が多いです。
③新築である
新築には、家鳴りはつきものといわれています。新品の部材は角が立っているのですが、部材同士は擦れることで安定していきます。また部材の水分は築年数とともに出ていき、乾燥します。 部材の乾燥や摩擦によって出る音が、家鳴りとして発生するのです。
新築ではまだ部材同士が馴染んでおらず、乾燥もしていないことから家鳴りが発生しやすいでしょう。 新築の場合、家鳴りのピークは築5年前後とされています。新築から5年ほど経過して発生している家鳴りは、部材同士が順応するために発生している音であると理解しておいてください。
③重心のズレ
重心のズレによる家鳴りは、古い木造の家でよく起こります。家具の都合で家の一部分だけに重みがかかってしまった場合、どうしてもその場所に負担がかかります。ピアノや本棚など、重みのある家電や家具を配置していると起こりやすいでしょう。 特に備え付けの家具はきしみやすく、家鳴りが発生しやすいです。
◆家鳴りの対策
家鳴りの対処法は、原因によって異なります。代表的な対処法を見ていきましょう。
◎家具の位置を変える
家具や家電の重みが一部分のみにかかっている場合は、その部分の柱や壁など建材に負担がかかり、家鳴りが頻繁に発生する原因になってしまう場合があります。
家具や家電の配置を変えて重さを分散することで家鳴りが減ることがあります。
◎湿度と温度を一定に保つ
家の中と外の気温の差が大きいと、木材が収縮して家鳴りが発生しやすくなります。季節の変わり目や寒暖の差が激しい時期は家鳴りが発生しやすいため、湿度は60%前後を保ち、室内温度は高くなりすぎないように調整しましょう。
◎外壁や屋根の温度上昇を抑える
家鳴りが屋根や外壁周りからする時は、室内の温度設定を変えただけでは対策できません。
外壁や屋根の温度が高まらないように、屋根断熱や屋根裏換気を取り入れるのもおすすめです。
また、屋根裏に通気口がある住宅は、換気口にゴミやホコリなどが詰まっていないか確認しましょう。
通気の流れをよくすることで家鳴りは落ち着くので、定期的にお手入れが必要です。
◆古い家の家鳴りの場合は注意が必要
家鳴りの原因は、寒暖差や住宅建材が馴染めていないなどですが、古い家から頻繁に家鳴りを感じる時は注意が必要です。
古い家の家鳴りも新築同様の原因が関係していますが、建材の耐久性や耐震性が弱っている可能性があります。木造住宅の建物の平均寿命は30年~80年といわれており、建材が劣化すると住宅が倒壊する恐れもあります。
家鳴りは住宅がダメージを受けているサインでもあるため、「頻繁に家鳴りがする」や「住宅の重心がずれている気がする」など不快感がある時は専門家へ相談しましょう。
インスペクションなどの建物調査は、国土交通省が指定した検査を有資格者の調査員が調査をしてくれるため、家鳴りの原因を的確に把握することができます。詳しい調査をすることで、有効な対策を準備することができ、家鳴りがしない家に住むことができます。建物の調査を受けることで家鳴りの原因だけでなく、他の家の状況を正確に把握することができます。家全体の問題を把握するためにも、家鳴りをきっかけとして調査することはおすすめの方法です。
家鳴りの原因は、温度や湿度のバランスや住宅建材の問題などさまざまです。音の種類で原因は違うため、どんな音が聞こえるのか把握しておくことも大切です。
これから家を購入する人や、家鳴りで悩まれている人は、ぜひ参考にしてください。