三階建て

3階建て住宅を建てるなら知っておきたい高さ制限

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都市部では、地価が高いため一戸建てを建てる敷地面積が限られがちです。そこで、土地の有効活用を図るために3階建て住宅に人気が集まっていますが、3階建て住宅を建てる場合は「高さ制限」に注意が必要です。

この記事では、3階建て住宅を建てる際の「高さ制限」について解説します。

 

3階建て住宅の高さ制限とは

周囲の日当たりや通風を遮らないために、建物の高さは都市計画法や各自治体が定める条例などによって規制されています。建物の高さに関する制限には大きく分けて以下の4種類があります。

 

◎絶対高さ制限

絶対高さ制限とは、用途地域ごとに決められている高さ規制のことです。用途地域とは、計画的な市街地を形成するために定められた地域のことです。用途地域によって条件が異なり、3階建てが建てられないエリアもあるので、事前に確認が必要です。

用途地域は目的に応じて13種類ありますが、これらは住居系、商業系、工業系の3区分に分類されます。これにより用途が混在することを防ぎ、良好な居住環境や商業活動、企業活動ができることを目的としています。

また、用途地域には建築できる建物の用途が決められていて、用途地域の規制と異なる建物を建築することができません。例えば、一般的な住宅街にあたる「第一種低層住居専用地域」や「第二種低層住居専用地域」では、高さは10mまたは12m以内となっています。

このエリアは一戸建てや低層マンションなどが立ち並ぶ地域となっているため、景観や周囲への影響を考慮して、12m以上の建物を建てることができなくなっています。店舗や宿泊施設など地域外の人間が大勢行き来するような建物は建設できないため、閑静な住宅街です。3階建て住居を建築することは可能ですが、2階建てが一般的です。

 

◎道路斜線制限

道路斜線制限とは、道路の日照や通風を遮らないために設けられる高さ制限のことです。具体的な高さは前面道路との距離や、道路自体の幅員によっても異なります。

 

◎斜線制限

斜線制限には、隣地斜線制限と北側斜線制限があります。隣地斜線制限は、隣接した土地の日照や通風を、北側斜線制限は、北側の土地の日照を確保するために設けられた規制です。

第一種・第二種低層住居専用地域のように絶対高さ制限が設けられているエリアには、隣地斜線制限は適用されず、北側斜線制限のみが適用されます。商業系の場所には斜線制限が指定されていないため、商業地域に3階建て住宅が建てられることが多いです。

 

 

他にも、3階建てを建てるうえでは、「建ぺい率」と「容積率」の仕組みにも目を向けておく必要があります。建ぺい率とは、「敷地に対する建築面積の割合」を示す数字であり、容積率は「敷地に対する延床面積の割合」を示す数字です。

建築面積とは、「建物を真上から見たときの面積」のことです。また、延床面積は「各階の床面積を合計した面積」を指します。

用途地域ごとに上限が設けられており、建物を建てる際にはこの数値内に広さを収めなければなりません。高さだけでなく面積の制限にも目を向けておくことが大切となります。

 

絶対高さ制限、斜線制限、建ぺい率や容積率といった各種制限は単体で適用される訳ではなく、複合的に適用されます。さらに、緩和要件や天空率といった細かな規定も考慮する必要があるため、こうした知識を得つつも土地購入や間取り計画の際には専門家に相談して進めると安心です。

 

 

3階建て住宅は構造計算書が必要

3階建ての建物を新築・増築する際に建築確認申請の書類に添付しなければならない書類が構造計算書です。構造計算書をもとに建物の安全性が検討されます。

一定の大きさ以下の木造の平屋や2階建ては、資格を持った建築士が規定に則した設計を行うという条件付きで構造計算書の提出を省略することができますが、3階建ては構造計算が必要です。建物の安全性が数値化され確認されていると考えると安心でしょう。

 

 

3階建て住宅で高さを演出する方法

3階建てを建てられる高さが決まっている場合は、間取りの工夫で開放感を演出する方法もあります。

 

  • 吹き抜けを設ける

1階と2階、または2階と3階のあいだにある床を抜いて2フロア分の高さを確保することで、高さを感じられる広い空間を実現できます。

 

  • 勾配天井にする

屋根の傾斜を利用して勾配天井にする方法も効果的です。天井を斜めに施工することで、吹き抜けほどではなくても高さと開放感を確保できます。また、屋根裏の空間をロフトとして活用することもできます。収納や書斎など、限られた面積の中でプラスαの空間を増やせます。

 

  • 高さのある窓を利用する

高い位置に窓を配置することも、高さを感じるためには有効です。高窓は隣家や通行人などと視線が合わさることもなく、カーテンなどを利用せずに視線を外に運べます。高さを演出できる、吹き抜けや勾配天井との相性も抜群です。

 

なお、一般的な住まいの天井高は2.4mほどです。2.4mを基準にして、高さを出したい場合はより高く、低く落ち着きを出したい場合は低く調整しましょう。

 

 

高さに関する各種制限は、自治体・立地・区画によって異なります。まずは、住みたい地域で3階建ての実績が豊富な住宅メーカーに相談してみるとよいでしょう。