注文住宅は、間取りやデザインを自由に選べるのが魅力ですが、一方で「値段が分かりにくい」というデメリットがあります。そこで、見積もりの依頼方法や見るべきポイントを知っておくと、失敗が少なくなります。
この記事では、工務店で見積もりをもらうときのポイントや注意点を解説します。
◆見積もりの種類と作成の流れ
見積もり書は、本契約前に費用を確認するための書類です。見積もり書には内訳も記載されるため、何にいくら費用がかかるかを確認し、場合によっては交渉を行います。
工務店でもらえる見積もりには、「概算見積もり」と「詳細見積もり」があります。
◎概算見積もり
概算見積もりとは、注文住宅の建築プランの作成段階で、土地の情報や大まかな要望を踏まえて作成する見積もりのことです。
建築を依頼する工務店を比較する段階では概算見積もりで比較を行い、工務店が決まってから詳細見積もりを依頼するという流れが一般的です。
◎詳細見積もり
詳細見積もりとは、概算見積もりからさらに具体的な仕様や設備を決めて作成してもらうものです。
使用する建材や建具、施工費などを詳細に決定して見積もりに反映していくため、何にいくらかかるのか、細かい内訳を確認できます。
◆見積もりに記載されている内容
見積もりに記載されている費用には、大きく分けて下記の3つがあります。
建築費(本体工事費)
本体工事費は、建物を建てるためにかかる費用です。家の基礎や外壁、屋根、窓、内装、キッチンやトイレなどの設備費用に加えて、下請け会社などの依頼費、人件費も含みます。見積もり総額の7〜8割を建築費が占めます。
本体工事費には専門用語が並んでいることが多いので、分からない項目はきちんと確認しましょう。
付帯工事費
付帯工事費は「建物以外」にかかる費用です。具体的には、水道管やガス工事、庭やフェンス、駐車場などの外構工事、地盤改良工事、照明やエアコン工事などが該当します。家の規模にもよりますが、最終的に100万円以上かかることが多いです。
工務店によっては一部の付帯工事費が見積もりに含まれていない場合がありますので、複数の工務店で見積もりを比較する場合は注意しましょう。
諸費用
印紙代や登記費用、住宅ローンの手数料、火災・地震保険料、建築確認申請費用など、本体工事費と付帯工事費以外にかかる各種税金や手数料などです。
目安としては見積もりの1割程度です。初回の見積もりでは全てが記載されていない場合もありますが、あらかじめ予算に組み込んでおきましょう。
◆見積もりを依頼する前にやっておくべきこと
見積もりを依頼する前には、下記のポイントを整理しておくと、スムーズに進みます。
家族の希望をまとめる
広さや間取り、設備、など、家族の希望を洗い出しておきます。性能についても忘れずにピックアップしましょう。今の暮らしだけでなく、家族のライフステージの変化も見据えておくことが大切です。
できる・できないは一旦置いておき、すべての希望を洗い出すのがポイントです。そこから優先順位を決めるといいでしょう。
工務店の情報を収集する
工務店にはそれぞれ得意分野があります。情報を収集して自分たちの希望に合う工務店を絞り込みましょう。
モデルハウスや完成見学会に行ってみるのもおすすめです。
◆見積もりを見るときにチェックすべきポイント
工務店の見積もりは特に注意して見るべきポイントがあります。また、複数の会社で見積もりを比較する場合は、各仕様や設備などのグレードを同等にして各社の見積もり条件を揃えるなど、押さえておくべきポイントがあります。
◎希望の内容が全て含まれているか
希望の仕様や設備が取り入れられているか、見積もりに不足している項目がないかなどを1つ1つ確認しましょう。
【比較する際のポイント】
・床面積・・・面積が広くなれば工事費も上がるため同等の床面積で比較
・建物性能・・・耐震等級、断熱性能、遮音性能などのランク
・フローリング・・・機能付きや無垢材は高額になるため同等の素材で比較
・外壁・・・サイディング、タイル、塗り壁など外壁材の種類を確認して比較
・設備・・・キッチンや洗面、お風呂などのグレード
◎総額が予算におさまるか
諸費用や別途工事費なども含めて、総額が予算におさまるかをチェックしましょう。最低限の性能や強度は守りたいので、予算オーバーにならないように工夫できる部分は、間取りや内装、設備のグレードです。こだわりを詰め込みすぎると予算オーバーになってしまうこともあるので、住み心地に影響が少ないものは標準仕様にするなどバランスを見ながら決めていきましょう。
あわせて、庭やフェンスなどの外構工事費、地盤改良やエアコン設置などの追加工事費など後から予算が上がる可能性がないかも確認しましょう。
◎見積もり依頼から提案までの対応
見積もりは金額を知るためのものですが、家づくりのパートナーとして信頼できる工務店かを見極めるチャンスでもあります。
見積もりを依頼してからの対応や提案力などもチェックして、人生の大きな買い物を任せられるパートナーを見つけましょう。
◆まとめ
見積もりには分かりづらい項目も多く、工務店によって内容や書式が異なるため、内容をしっかり確認することが大切です。
この記事で紹介したポイントや注意点を踏まえて、後悔のない家づくりにしてくださいね。