家づくりに資金計画は欠かせません。
家づくりには、どれくらいの資金が必要なのでしょうか。
「自分たちで土地を買い、自分たちで土地を整え、そこに新築の家を建てる」というように、一から自分たちで組み立てていく場合は、かかるお金は多岐にわたります。
そして、「資金計画」と一口に言っても、以下のように様々な切り口があります。
- どのように資金を集めるのか
- 頭金はどうするか
- 予算の決め方はどのようにすればよいのか
- 何にお金がかかるのか
- ローンの組み方はどうするか
- 返済の方法や返済の考え方
ここでは、資金計画の中でも最も基本的な問題である、「家づくりの予算総額の決め方はどのようにすればよいのか」、「何にお金がかかるのか」の2つに焦点を絞ってお話ししていきましょう。
資金計画のポイント① 家の予算は「借りられる金額」から逆算する!
「家の予算を決める」というと、多くの人が「2,500万円で考えています」「3,000万円で・・」などのように、総借入額を決めてから、毎月の返済額を決めようとします。
しかし、これは非常に失敗しやすい考え方だといえます。
総予算額を決めるおすすめの方法
おすすめなのは、「月々の返済額から、総借入額を逆算する」という方法です。
つまり、現在の収入をベースに考えて、「毎月(あるいはボーナス時期)無理のない返済金額×支払っていける年数」を求めて、そこから家の予算を決めていくのです。
たとえば、「月に75,000円ならば無理なく返していける。現在自分は30歳であり、65歳までは働ける。金利は0.625パーセントである」とした場合、総借入額は2,828万円となります。
これならば、無理なく返していけるということです。
返済のリスクを軽減することが大切
「無理なく毎月返していける金額」から「家にかけられるお金」を求めることで、破綻しにくい返済計画を立てることができます。
もちろん人生にはさまざまな困難がありますから、これでも苦しくなる可能性はゼロではありませんが、「建てたい家にかかる費用を見てから、毎月の返済額を決める」「費用の総額から、毎月の返済額を求める」という方法よりも、リスクはずっと少なくなります。
資金計画のポイント② 何にどれくらいお金がかかるのか、総額を把握する!
家づくりにかかる総額の把握も大切です。
実は、新築の家づくりの場合、総額を把握するのが簡単ではありません。
その理由は、主に2つあります。
- 住宅会社が、そもそも住宅の価格を公開していない
- 建物を建てること以外にも、お金がかかる
ただ、後者に関しては「どこに、どのようにお金がかかるか」を知っておけば多少対処はしやすくなります。
家づくりにかかる費用
家にかかる費用は、以下の通りです。
(1)建物
言わずもがな、家そのものを建てるときにかかる金額です。
家づくりの基本となる部分であり、また予算のなかでも大きな割合を占める部分でもあります。
またここに、「カーテンや照明は含まれるか」なども見ておく必要があります。
これによって数十万単位で総額が変わってくることもあります。
(2)土地代・造成費・解体費
土地代もかかります。
また高低差のある土地ならば造成費も必要になりますし、建物が立っているのであれば解体費も必要になります。
地盤改良費込みで算出しておくと安心です。
地盤改良が必要なかった……という場合は、その地盤改良費(の予定でとっておいた費用)を、引っ越し費用などに使うことができます。
(3)諸費用
事務取扱手数料・保証料・仲介料・水道加入金・火災保険料・登記費用などがかかります。
これも計算に入れておかなければなりません。
諸費用はケースによって異なりますが、ローンの組み方や借入額、また地域によって大きく変わってきます。
思わぬ出費が発生することもあります。
家づくりの総額を把握するタイミング
建物、土地、諸費用等の全ての項目を把握して、ようやく家の総額がわかります。
総額が分かっていないうちに建物や土地の計画を進めていくのではなく、家づくりの最初に資金計画をすることで、無理のない家づくりをしていくことができます。
- そもそも返済できる計画なのか
- 自分の希望している建物が予算内で収まるのか
- 自分の希望している土地が予算内で収まるのか
資金計画ができていないうちに家づくりを進めると、こうした根本的な問題がクリアにならないまま、計画が進んでしまいます。
返済計画に無理が生じたり、土地や建物がそもそも予算に収まらなかったりしてしまいます。
家づくりの資金計画を考え始めたら、まずは家づくりの総額を把握することをお勧めします。
無理のない資金計画! 無理のない返済計画を
家は高い買い物です。
もちろん一括で買われるお客さまもゼロではありませんが、大多数の人は住宅ローンを組むことになります。
いくらかの頭金を用意して、残りをローンというかたちで借り入れて、長い時間(10年~35年程度)をかけて返していく資金計画になります。
家は、多くの人にとって一生に一度の買い物となります。
「一生住み続けることになる家だから、多少無理をしてでもグレードの高い家を建てたい」
「内装(カーテンなど)は後でどうとでもなるから、基礎や断熱、窓などは妥協したくない」
「子どもたちに家を残したいので、上質な家をつくりたい」
「ここで妥協したら、ずっと後悔しそう。がんばって稼いでいくから、ランクの高い家を建てたい」
このように考えるのは、ごく自然なことだといえます。
ただ、ここまで説明したとおり、家づくりで大切なのは、「無理のない予算で家を建て、無理のない返済計画を立ててお金を返していくこと」です。
家族の笑顔のための資金計画
どれほど良い家を建てたとしても、無理をしてしまうと返すのがつらくなってしまいます。
家のローンが重荷になってしまい、ご家族から笑顔が消えるようなことがあっては本末転倒です。
更に、それでも返しきれなかった場合、差し押さえなどによって、せっかく手に入れた家を手放さなければならなくなります。
こうなってしまっては、大きな後悔が残るでしょう。
資金計画の第一歩は、「借りられる金額」から逆算して総予算を決めること、費用の総額を把握して、何にどれくらいかかるのかを明らかにすることです。
無理なく、余裕を持って返済していける予算で家を建てることが何よりも重要です。