新築一戸建ての購入には、物件価格以外に「諸費用」がかかります。まとまった金額が必要なので、何がいくらぐらいかかるのかをあらかじめ把握しておくことが大切です。
この記事では、不動産購入時にかかる諸費用を分かりやすく解説します。
◆新築一戸建て購入時の「諸費用」とは
諸費用とは、建物の建築・購入費用のほかにかかる税金や登記費用、手数料などのことです。
土地の有無や住宅ローンの借入先などによって金額は大きく異なりますが、物件価格に対して下記の金額が目安となります。
【注文住宅】工事費の3~6%(土地がある場合)
【建売住宅】物件価格の6~9%
※物件価格3,000万円の場合の諸費用
【注文住宅】90~180万円
【建売住宅】180~270万円
諸費用は原則、住宅ローンの借入額には含まれず、現金で用意する必要があります。住宅購入時には事前に諸費用がどれくらいかかるのかを計算しておきましょう。
◆諸費用の内訳と目安
では、どんな諸費用がいくらぐらいかかるのでしょうか?代表的なものは下記の通りです。
-
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産会社など仲介業者を通じて一戸建て、マンション、土地などを売買するときに発生する手数料のことです。仲介業者から土地を購入して注文住宅を建てる場合は土地に対する仲介手数料が、新築一戸建ての場合は取引形態によって仲介手数料がかかることがあります。
【目安】売買価格×3%+6万円+消費税
-
印紙税
印紙税とは、契約などの取引で作成する書類に対してかかる税金です。売買契約書に収入印紙を貼って納税します。
【目安】契約価格1,000万円超~5,000万円以下の場合は2万円
-
不動産取得税
不動産を取得したときに一度だけ課税されます。一定の条件を満たす不動産の場合、軽減措置により非課税となることもあります。
【目安】固定資産税評価額×4%
-
登記費用・登録免許税
不動産を購入した場合は所有権の登記が必要となり、登記手続きを依頼した司法書士に報酬を支払います。また、その際にかかる税金が登録免許税です。登記の種類により一定の税率が定められています。
【目安】登記費用:1万~13万円程度
登録免許税:固定資産税評価額×0.4~2%
-
固定資産税、都市計画税(清算金)
所有する不動産に対してかかる税金です。1月1日時点で不動産を所有している人がその年の1年分の税金を納めます。年の途中に引き渡しがあった場合は、清算金が発生します。
【目安】固定資産税:固定資産税評価額×税率1.4%(標準税率)
都市計画税:固定資産税評価額×税率0.3%(上限)
-
融資事務手数料
住宅ローンの契約をする金融機関に支払う手数料。金融機関により異なります。
【目安】3万~5万円程度。または借入額の1~3%程度
-
ローン保証料
住宅ローンの返済ができなくなった場合に、返済を肩代わりする保証会社に支払う費用です。金融機関によって金額が異なり、フラット35利用時は不要です。
【目安】借入額の0~2%程度
-
物件調査手数料
住宅が融資基準に適合するかどうかの調査にかかる手数料。フラット35を利用する場合にかかります。
【目安】一戸建て2万~8万円
-
団体信用生命保険料
住宅ローンを組むときに加入する保険の料金。世帯主に万が一のことがあって住宅ローンの返済ができなくなった場合、残債がゼロになります。
【目安】特約付きの場合、通常金利+0.2~0.3%程度
-
火災保険料、地震保険料
住宅ローンを組む際、ほとんどの金融機関が火災保険への加入を必須条件としています。地震に備える場合は、地震保険が必要となります。
【目安】火災保険料は15万~40万円程度(10年一括契約の場合)
地震保険料は5万~25万円程度(5年一括の場合)
◆新築の注文住宅を建てる場合にかかる諸費用をシミュレーション
ここでは、500万円を頭金とし、残りを住宅ローンで借りた場合の諸費用をシミュレーションします。
※仲介手数料はかからないものとし、軽減措置や個別事情などは考慮していない
◇物件価格3,000万円、借入金額2,500万円での概算諸費用
登記費用・登録免許税:約60万円
住宅ローン抵当権設定登記:約15万円
売買契約書 印紙代:約3万円
固定資産税:約10万円
住宅ローン事務手数料:約5.4万円
火災保険料:約40万円
不動産取得税:約67.5万円
———————————
諸費用合計:約200.9万円
◇物件価格4,000万円、借入金額3,500万円での概算諸費用
登記費用・登録免許税:約80万円
住宅ローン抵当権設定登記:約19万円
売買契約書 印紙代:約3万円
固定資産税:約10万円
住宅ローン事務手数料:約5.4万円
火災保険料:約40万円
不動産取得税:約90万円
———————————
諸費用合計:約247.4万円
上記は、あくまでも簡易的な試算となり、新築住宅購入時の諸費用は、住宅ローンの組み方など、さまざまな条件によって異なります。
また、諸費用は現金払いが原則ですが、現金を用意するのが難しい場合は「諸費用ローン」を利用するという方法もあります。諸費用を住宅購入の借入金額に組み込むことができますが、不動産取得税は組み込むことができない、借入金額が増えて月々の支出が多くなるなど、注意すべき点もあります。
住宅を購入するときは、ほかにも引越し代や家具・家電の購入費などが発生し、出費がふくらみがちなので、後悔のないよう資金計画を立てましょう。