資金・資金計画

注文住宅は何にいくらの費用がかかる?予算オーバーしないポイント

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注文住宅は、建売住宅やマンションの購入に比べて、お金の流れが複雑。土地代・工事費・外構費用・諸費用…とさまざまな費用がかかるので、何にいくらかかるのかイメージしづらいですよね。予算オーバーを防ぐためにも、費用の内訳や注意点を知っておきましょう。

注文住宅にかかる費用は大きく分けて3つ

注文住宅を建てる費用は大きく分けて「①建築工事費、②諸費用、③その他」の3つです。

 

②③の費用は、一般的に①建築工事費の5〜10%程度といわれています。意外と少なくない金額ですよね。そのため、これらの費用を頭に入れていないと、予想外の出費に慌ててしまうことも…。

 

実際に注文住宅を建てると、建築工事費は概算や見積もりよりも高くなる傾向があります。「気がついたら予算オーバー!」ということがないように、必要な費用を打ち合わせの段階からしっかりと確認しておくことが大切です。

 

では、具体的にどのような費用がかかるのか、それぞれ見ていきましょう。

①建築工事費

注文住宅を建てる費用のなかで、一番大きい割合を占めるのが建築工事費です。建物本体を建てる費用だけでなく、内装材や設備、庭の工事などさまざまな費用が含まれます。具体的な割合としては、土地代を除く総費用の90%近くを工事費が占めることが多いでしょう。

 

②諸費用

建築工事費以外に必ずかかるのが、登記手続き費用や住宅ローン手続き費用、税金などの諸費用です。割合としては、総費用の3〜5%程度といわれています。

 

登記手続き費用

土地の所有権移転登記や、建物の表示登記、所有権保存登記にかかる費用。登録免許税や、司法書士への報酬がかかる。住宅ローンを組むなら抵当権設定登記も必要。

住宅ローン手続き費用

住宅ローンを組むときに金融機関へ支払う融資事務手数料や、保証会社への保証料。

印紙税

建物の工事請負契約書や、土地の売買契約書、住宅ローンの金銭消費貸借契約書を交わすときにかかる税金。

保険料

火災保険や地震保険、団体信用生命保険などの保険料。

 

③その他の費用

注文住宅を建てるときは、建築工事費や諸費用以外の費用についても考えておく必要があります。その他の費用の割合は、全体の3〜5%程度が一般的です。

 

仮住まい費用

仮住まい先の家賃や、トランクルーム代。

引っ越し費用

新居や仮住まい先への引っ越し代金。

家具・家電購入費用

建築工事費用には家具などの費用は含まれていないため、ある程度の自己資金を準備しておく。

 

注文住宅を建てるときに意識したいポイント

注文住宅を建てるときに意識したいポイントをいくつか紹介します。事前にしっかりと確認しておくことで、「想定していた予算を大幅にオーバーしてしまった」という事態を防ぐことができます。

ポイント1:住宅ローンは「返せる金額」で考える

住宅ローンの借入額を決めるときは、「借りられる金額」ではなく「返せる金額」で考えましょう。

 

住宅ローンを組むとき「自分の年収だといくらくらい借りられるんだろう?」と調べる方は多いですよね。金融機関は年収や年齢、他の借入状況などを見て、「あなたにはこのくらいなら貸せますよ」という借入可能額を決めています。

 

ここで注意したいのが、金融機関が貸してくれる「借入可能額」と、無理せず返済できる「返済可能額」は違うということ。借り入れができるからといって、上限いっぱいの金額でローンを組むのは危険です。

 

同じ年収の方でも、生活費や教育費は家庭によってさまざま。毎月無理なく返せる金額も、ご家庭によって変わってきます。

 

住宅ローンの借入額を決めるときに「自分が住宅ローンの返済に毎月いくらなら充てられるか」をよく考えると、あとから返済に苦労することが少ないでしょう。

ポイント2:長期計画を立てる

住宅ローンは「今、返せる金額」だけでなく、「将来的に返し続けられる金額」で考えることも大切です。

 

たとえば、これから出産の予定があれば、育休や時短勤務で収入が減ってしまうことがあるかもしれません。場合によっては、出産を機に退職されることもあるでしょう。

 

そして一般的に、お子さんの教育費のピークは大学進学時です。必要な授業料や仕送りを払いながら、住宅ローンも返していけるように計画を立てたいですね。

 

また今は元気なご両親も、いずれは介護が必要になったり、老人ホームなどの施設に預けたりする可能性もあります。そうなった時の収入減や出費増についても考えておきたいところです。

 

注文住宅を購入するときは、将来のことを考えたゆとりのある返済計画を立てるようにしましょう。

 

ポイント3:建てた後のランニングコストも考える

注文住宅は、建てて終わりではありません。住宅を購入することで、継続的に支払わなければならない費用が発生します。

 

たとえば、次のような費用です。

 

・固定資産税と都市計画税

住宅や土地を所有していると、固定資産税を支払う義務があります。税額は土地や住宅の資産価値に応じて決められており、毎年1回、所在地の自治体に納めます。

また、家を建てるのはほとんどが市街化区域内なので、都市計画税もいっしょに課税されます。

 

・メンテナンス費用

賃貸マンションならメンテナンスはすべて大家さん任せですが、注文住宅の場合は外装から内装まで自分でメンテナンスしなければなりません。たとえば外壁や屋根の塗装や、キッチンやシステムバスの交換、壁紙や床材の張り替えなどが定期的に必要になります。マンションの修繕積立金のようなイメージで、毎月一定額を積み立てると安心です。

 

・光熱費

電気代や水道代などのランニングコストは、家の性能によって大きく異なります。たとえば断熱や気密にお金をかけた注文住宅なら、冷暖房の効率がよくなり電気代がぐんと抑えられることも。一つひとつの金額は大きくないので、家を建てるときには軽視しがちな費用ですが、長い目でみると金額がかなりふくらむので、新築時にしっかり考えておきましょう。

 

注文住宅の資金計画は綿密に!

注文住宅を建てるときに必要な費用は、建築工事費・諸費用・その他の費用の大きく分けて3つです。住宅ローンを組むなら、建てた後のランニングコストや将来かかる教育費や介護費も考慮したゆとりある計画がとても大切です。自分が「買える金額」ではなく、「いくらなら無理なく返済が続けられるか」をしっかりと考えて、余裕のある資金計画をしましょう。