資金・資金計画

工務店で家を建てる前に知っておきたい「つなぎ融資」とは? つなぎ融資の仕組みや注意点を解説

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住宅ローンの融資前に必要となる着工金や中間金、各種手数料や税金といった諸費用を自己資金で負担するのが難しい場合は「つなぎ融資」を利用する方法があります。

つなぎ融資は便利な反面、よく理解しないまま利用してしまうと損をしてしまう可能性もあります。

そこで、今回は家を建てる前に知っておきたい「つなぎ融資」の仕組みや注意点をご紹介します。

 

◆つなぎ融資とは

住宅ローンを利用する場合は、購入した家が完成してから融資が始まるのが一般的です。分譲マンションなどを購入する場合も、引き渡しをする前に住宅ローンの契約をし、引き渡しのタイミングで融資を受け取るケースがほとんどです。しかし、注文住宅を建てる場合は、建築にかかる費用を分割して支払うため、住宅が完成する前にまとまった金額を用意する必要があります。

 

つなぎ融資は、住宅ローンに含めることができない費用の支払いに利用する金融商品のことです。

住宅ローンは完成した注文住宅を担保とするため、建物を引き渡しする時点で融資実行されます。そのため注文住宅が完成するまでに発生する費用は、住宅ローンに含めることはできません。

 

※住宅ローンに含めることができない費用の例

  • 土地購入費用
  • 住宅ローン手数料
  • 建築確認申請費用
  • 着工金
  • 上棟金・中間金

 

 

こうした費用を自己資金で負担するのが難しい場合に利用できる融資がつなぎ融資です。住宅を建てる前に必要な資金を一時的に立て替えてくれるローンで、つなぎ的な役割をすることからこのように呼ばれています。

 

住宅ローンが実行されるまでは利息のみを支払い、住宅の引き渡しのタイミングで住宅ローンを使って清算するというのが、つなぎ融資の一般的な仕組みです。そのため、ダブルローンになることはありません。

 

手持ちの現金が足りなくてもマイホームを購入できるのがつなぎ融資を利用するメリットです。ただし、金利は住宅ローンと比較すると相場で約2~4%と、少し高めに設定されていることが多く、ローンの事務手数料なども別途必要になる場合があります。

また、つなぎ融資を利用する場合は、住宅ローンと同じ金融機関を利用するか、ノンバンクが扱うつなぎ融資を利用する方法のどちらかになり、つなぎ融資を検討している場合は住宅ローンとつなぎ融資の両方を行っている金融機関を選ぶなど、借り入れのハードルも少し高くなります。

 

 

つなぎ融資の流れ

つなぎ融資は「土地購入時」「着工時」「上棟時」など、自己資金では賄えない時に利用します。つなぎ融資を受けるには、住宅を建てる土地を決めた上で、ハウスメーカーや工務店と建築プランを決めて請負契約を締結し、そのタイミングで審査を行います。つなぎ融資が通ると「土地購入費用」「着工費用」「上棟費用」の支払いを行います。そして、住宅の完成とともに実行される住宅ローンで「つなぎ融資」を完済します。

 

なお、つなぎ融資の「利息」は金融機関により支払いのタイミングが異なります。大きく分けて下記の3つのパターンがあります。

 

①建物完成までに利息分だけ支払う

②本融資実行時に元本と利息をまとめて返済

③つなぎ融資の借入時点で利息を前払い

 

建物完成までに発生する支払いをすべて自己資金で用意できる場合には、つなぎ融資を使う必要はありません。

ただし、貯蓄をすべて使うのは危険です。将来の教育費や万が一のための予備費も残した上で、自己資金が足りるかどうか検討することが大切です。

 

 

つなぎ融資以外の融資方法

注文住宅向けに、つなぎ融資以外の柔軟な融資制度がある金融機関もあります。これを「分割融資」や「土地先行融資」と呼びます。

 

分割融資とは、住宅ローンの一部を分割して受け取ることです。建物の引渡しよりも前に、住宅ローン融資額の一部を受けられるというのが特徴です。分割融資は、つなぎ融資のように住宅ローンと別の契約をする必要がありません。また、分割融資は住宅ローンの一部なので、つなぎ融資よりも低い金利が適用されるメリットがあります。

 

土地先行融資とは、建物の融資より前に、土地を担保にして住宅ローンの契約を結び、融資を受けるものです。建物が完成したら、建物を追加で担保にします。
土地先行融資は抵当権を2回設定するので登記費用が割高になりますが、担保があるのでつなぎ融資と比べると金利が低くなるというメリットがあります。

 

分割融資や土地先行融資の方法は金融機関によって細かい違いがあるので、返済が始まるタイミングや諸費用などもしっかり確認することが大切です。

 

◆まとめ

資金計画は、注文住宅の完成度や建ててからの生活に大きく影響するポイントです。

つなぎ融資を利用すると便利ではありますが、金利や手数料の負担は増えてしまいます。「つなぎ融資はできるだけ使いたくない」という場合は、自己資金と住宅ローンで賄えるように予算を抑える、親族から贈与を受けるといった方法の検討もおすすめです。

 

複数の手段のメリット・デメリットを比較検討し、ご予算や状況に合わせて選べるように準備しておきましょう。