木の家に憧れている方は多いですが、木材の特性を知らず木の家にして後悔するケースもあります。木の家を建てて後悔しないためには、あらかじめ木材の特性について理解し、メンテナンス方法などを把握しておくことが大切です。
この記事では、木の家にして後悔したことや失敗しないためのポイントを解説します。
◆木の家のメリット・デメリット
【木の家のメリット】
無垢材には湿度の調節機能があり、自然素材が湿気を吸収し、乾燥すれば湿気を放出します。これにより、湿度の高い梅雨も乾燥しがちな冬も気持ち良く過ごせます。無垢材には蓄熱作用もあるため、一度暖まった家は冷えにくく、年間を通して快適な室内環境が保たれます。
また、無垢材の内装は美しい木目と暖かい雰囲気で住む人に安らぎを与えてくれます。リラックス効果のある香りや肌触りがいい天然木には、消臭・抗菌効果もあるため、小さなお子様やペットのいる家庭でも人気なのです。
【木の家のデメリット】
無垢の家は、素材にバラつきがある点や傷・汚れに弱い点がデメリットとして挙げられます。また、新築から1年程かけて、生活による摩擦や使い込みで馴染みある風合いに仕上がってきます。
ただし、無垢の家を建てる場合は、無垢材の知識や扱いに詳しい職人がいる建築会社に依頼して、適切に施工してもらうのはもちろん、将来のメンテナンスやケアの方法を聞いておくと安心です。
◆木の家で多い後悔ポイント
①木材の種類によって傷がつきやすい
素足で触れたときの心地良い肌ざわりの良さは、無垢の木のやわらかさが影響しています。そのため、物を落としたり、ぶつけたりすると凹んだり傷がついてしまうことがあります。特に杉、ヒノキ、パインなどの針葉樹は比較的柔らかいため、傷がつきやすくなっているのが特徴です。
また、吸水性も高いため、こぼれた水分を素早く吸収してしまいます。お手入れをしなければシミができてしまいます。
②割れや変形が生じることがある
無垢の木は生きているので湿度によって膨張したり収縮したりして変形をします。住み始めてから少し経つと割れることもありますが、表面のみなので家の耐久性には影響しません。
他にも、変形によってできた隙間にゴミが溜まってしまったり、歩くとキシキシと音がする床鳴り、無垢材の建具の場合は反りが出て建てつけが悪くなる場合もあります。
③色合いや木目にバラつきがある
木は自然素材ですので色合いや木目にバラつきがあります。サンプルで見たものと実際の完成した家の雰囲気が異なることもあります。木の種類や節の有無などの特性をしっかりと認識して選ぶことが大切です。
また、経年変化で木は変色しやすいこともあります。特に、日当たりが良い場所は日焼けによって色みが変わりやすくなるため、注意が必要です。
④使用できない冷暖房器具がある
使う材料によっては床暖房やストーブ、コタツなどの暖房機器が制限されることもあります。暖房機器は水分を飛ばしてしまうため無垢材が乾燥してしまい、変形や劣化の原因になってしまいます。お住まい地域の気候やライフスタイルに合わせて考えなければなりません。
⑤定期的なメンテナンスが必要
無垢材の耐久性は種類によって異なりますが、基本的には定期的なケアが必要です。天然塗料を使用している場合はワックスがけやオイルがけなどの塗り直し、水や汚れが付着した際にはシミにならないようにすぐに拭き取りが必要です。
ただし、経年変化や使い込んだ艶などは無垢材ならではの魅力や味わいになります。
◆木の家で後悔しないための工夫
①後悔しやすいポイントを把握する
まずは、後悔を感じやすい点をあらかじめ把握することです。特に木の家や木の床板を使用する際に最も目立つのは「傷」です。重いものを落とすと、へこみや傷がつくことがありますが、事前に傷がつきやすいという特性を理解していれば、心理的なダメージを軽減できます。むしろ傷ひとつひとつに思い出が生まれて、家への愛着が深く湧いてくるでしょう。
②木材の種類ごとの特性を理解する
木の種類ごとの特性を理解することも大切です。木は種類によって特性が大きく異なります。一般的に、スギやヒノキなどの針葉樹は柔らかく、クリやカバザクラといった広葉樹は硬めです。「無垢の木を利用したいけれど傷が気になる」という方には、広葉樹がおすすめです。
しかし、冬になると広葉樹は針葉樹と比べて、肌で触れると冷たく感じやすいという特性があります。それぞれの木材の特性を理解した上で採用しましょう。
③冷暖房機器対応の製品を利用する
無垢の床板には、冷暖房機器に対応した製品を活用しましょう。通常の無垢フローリングとは異なる加工や乾燥工程を経ているため、床暖房による温度変化に耐えられるようになっています。
ただし、他の製品と比べて割高になることが多いため、費用対効果をしっかりと検討すること重要です。
④木の家の施工実績が豊富な会社に依頼する
木の家で後悔しないためには、木の家の施工経験が豊富な業者に依頼することが重要です。
特に無垢の木を使用する場合、収縮や膨張、反りなどを加味した適切な施工が求められます。豊富な経験を持つ業者であれば、木の特性に対応した施工が期待できるでしょう。
建築前には、過去の施工事例を確認したり、木材の特性に関する専門知識を持つ業者かどうかをしっかりと見極めましょう。
経年変化により耐久性が高く、味わい深くなっていくのが木の家の魅力です。健康面や住み心地の面でも大きなメリットがある一方で、注意点もあることをご紹介しました。
木の家の特徴を理解して十分納得した上で検討しましょう。