家づくりを検討している方は、ZEHというキーワードをよく見聞きすると思います。日本では2030年までにZEHが新築住宅の平均となるよう目指しており、近年は注文住宅だけではなく建売住宅でもZEHが導入されるようになりました。
この記事では、ZEH住宅とはどんな家なのか、メリット・デメリットも解説します。
◆ZEH住宅とは
ZEHは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、エネルギー消費をゼロに近づけることを目指した住宅のことを指します。具体的には、住宅で使用する年間のエネルギー(電気やガスなど)を、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用することで自家発電し、エネルギー収支を実質的にゼロにすることを目標としています。
これは、日本が第一次エネルギーの約9割を輸入に頼るほどの低エネルギー自給率であることや、自然災害に対する国内エネルギー供給の強化などを鑑みた、政府推進の政策によるものです。
ZEHとして認められると補助金を受けることができます。そのためには細かな要件が定められていますが、ポイントは「断熱」「省エネ」「創エネ」の3つの要素です。
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断熱
ZEHとして認定されるためには暑さや寒さに影響されにくいよう断熱性能を高めることが必要です。具体的には断熱材や窓の性能を高めて、冷暖房に使うエネルギーを減らします。
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省エネ
省エネにはHEMS(ヘムス)という、住宅内の消費エネルギーと太陽光発電等で創るエネルギーを確認できるシステムが必要です。また省エネタイプのエアコンや、少ないエネルギーでお湯を沸かせる高効率な給湯システム、消費電力の少ないLED照明などの導入も必要です。
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創エネ
ZEHでは太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムを備え、創り出すエネルギーが、消費するエネルギーを上回るようにする必要があります。
◆ZEH住宅のメリット
ここでは、ZEH住宅にはどんなメリットをご紹介します。
メリット①光熱費削減につながる
省エネシステム・断熱の強化・太陽光発電による自家発電によって光熱費が削減できます。また、太陽光発電で余った電力は電力会社に売電して収益も得られます。
メリット②災害時用に非常電力を備えられる
創り出した電力を蓄えておける蓄電池を設置すれば、停電や自然災害時の非常電力をまかなえます。
メリット③高く売却できる可能性がある
ZEH住宅は、住宅の省エネに対する取り組みを評価する指標の1つである「BELS」で高評価を得られるため、資産価値が高く見積もられ、将来売却する際にも高値で売れる可能性があります。
メリット④ヒートショックを起こしにくい
ZEH住宅は、高い断熱性能によって部屋間の温度差が少なくなるため、特に冬の寒い季節は、急激な温度変化によって引き起こされるヒートショックの軽減につながります。
◆ZEH住宅のデメリット
次にデメリットもご紹介します。
デメリット①天候によって発電量が変化する
太陽光発電は、太陽光エネルギーによって電力を生み出します。曇りや雨などの天候の悪い日、日照時間の短い冬場は発電量が減少するため、常に安定した電力を得られない可能性があります。
デメリット②導入時の太陽光発電機器費用や点検費用がかかる
システムをはじめとする、各種省エネ機器を設置するには、設備投資費用がかかります。また、省エネ機器を長く使うためには、定期的なメンテナンス費用も必要です。
ただし、光熱費の削減効果や、ZEH住宅の資産価値が高く見積もられる可能性を考慮すると、長期的観点では省エネ機器にかかるコストは回収できると考えられます。
◆ZEH住宅の補助金制度と注意点
戸建て住宅で主に利用できるZEH補助金制度は、「ZEH」「ZEH+」「次世代ZEH」の3つです。
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ZEH
外皮性能の向上、および省エネルギーと再生エネルギーの導入で、年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指した住宅(エネルギー削減率は省エネ基準比20%以上)
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ZEH+
より高性能なZEHで、省エネ基準比25%以上の一次エネルギー削減、需給一体型を目指す住宅
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次世代ZEH
ZEH+の性能に加え、再生エネルギーなどのさらなる自家消費の拡大を目指す住宅
これら3区分の補助金制度に加え、さらに二酸化炭素排出量のマイナス化を進めた住宅「LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅」への支援制度もあります。
【ZEH補助金制度を利用する場合の注意点】
◎ZEHビルダー・ZEHプランナー登録の建築会社を利用する
ZEH住宅の建築会社の選択では、建築会社が「ZEHビルダー」または「ZEHプランナー」として登録しているかどうか、の事前確認が必要です。
これらの登録会社は、ZEH住宅の建築を認定された業者を指し、ZEHビルダーは工務店やハウスメーカーなどが、ZEHプランナーは設計事務所などが登録しています。
◎ZEH補助金申請後は設計の変更ができない
補助金制度を利用したZEH住宅の設計プランの作成では、エネルギー消費量や断熱効果を入念に細かく計算します。ZEH補助金制度では、申請した内容どおりの建築が求められるため、申請後の間取りや機器の変更はできません。
したがって、ZEH補助金制度の利用では、入念な検討を重ねたうえで設計プランを作成し、最終決定をしたあとに申請を行う必要があります。
◎ZEH補助金の最新スケジュールを確認する
ZEH補助金制度は、種類によって申請時期や採択方式、補助金額が異なります。また、公募方法は先着順で、申請金額が予算に達成すると公募は打ち切られます。
希望のZEH補助金制度を利用するには、各省庁のホームページなどを確認し、常に最新情報を把握しておくことが大切です。
初期費用は割高になるものの、補助金制度を活用できたり、ランニングコストを抑えられたり費用面でのメリットもあるため、長期的な視点で検討してみてはいかがでしょうか。