耐震対策

耐震性能が高い注文住宅を建てるためのポイントとは?耐震等級の種類や判断基準についても解説

Pocket
LINEで送る

地震大国の日本においては、耐震性能に配慮した家づくりは不可欠です。

この記事では、耐震性能が高い注文住宅を建てるためのポイントやその指標となる耐震等級について解説します。

 

 

◆耐震等級とは

耐震等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって定められた、地震に対する建物の耐震性をわかりやすく表すランクのようなものです。建物の耐震性能によって等級は3段階に分かれ、等級の数字が大きくなるほど耐震性能が高くなります。

住宅の耐震等級を認定してもらうためには、住宅性能表示制度で定められている第三者による評価を受ける必要があります。

<耐震等級1>

建築基本法が定める、一般住宅が持つ最低限の耐震性能。
「きわめてまれに発生する大地震」による力に対して倒壊、崩壊しない程度とされています。現在は耐震等級1を有していない建物は建てることができません。

 

<耐震等級2>

耐震等級1の1.25倍の強さの耐震性能。
学校や病院など、避難所となる建物に求められる耐震性です。

 

<耐震等級3>

耐震等級1の1.5倍の強さの耐震性能。
消防署や警察署など、防災の拠点となる建物に求められる耐震性です。

 

「きわめてまれに発生する大地震」とは、建築基準法で定められた数十年に一度程度の頻度で発生する大規模地震のこと。1981年6月1日から施行された「新耐震基準」では震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しないことを基準としており、「きわめてまれに発生する大地震」もこの基準を受けて震度6強~7が想定されています。

実際に起きた地震では、1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災が「きわめてまれに発生する大地震」に当てはまる地震となります。

 

3日間で震度7の地震が2回観測された2016年の熊本地震では、建築物に甚大な被害が発生しましたが、耐震等級3の木造建築物の倒壊数はゼロでした。

 

 

耐震等級に影響を与える4つのポイント

地震に強い家を建てるためには、どのような家づくりをすればよいのでしょうか?建物の耐震性に関わるポイントについて解説します。

 

  • 建物の重さ

建物の質量が重いと安定感があり、地震に強いイメージがあるかもしれません。ですが、実は建物の質量が軽いほうが地震には強くなります。

理由は、建物が重いほど地震の揺れが伝わりやすいため。よって、鉄骨や鉄筋コンクリートの建物よりも軽量な木造住宅のほうが揺れは小さくなります。

 

  • 建物の形

建物の形も地震への強さが変わるポイント。正方形や長方形のシンプルな形の家は壁が向かい合っているため、地震の揺れに対し衝撃をうまく受け止めることができるため、地震に強い形であるといえます。

一方、L字やコの字型のような凹凸の多い家は地震のエネルギーを集中して受けてしまう部分があるため、損傷が起こりやすくなる可能性も。1点の損傷が、家の歪みや崩壊の原因になってしまうこともあるのです。

 

  • 建物の高さ

高層ビルなど高い建物の上階のほうが、小さな地震でも揺れが大きくなるのを体感したことがある方もいるのではないでしょうか。建物は高いほど揺れやすく、低いと揺れが小さくなります。

高さが低くて構造がシンプルな平屋は、地震に強い家として近年注目されている住宅です。

 

  • 耐震構造

耐震構造とは、地震などによる水平方向の力に対して十分に耐えられるように設計された構造のこと。
耐震構造には、大きく分けて「耐震」「免震」「制震」の3つがあり、それぞれ異なる方法で建物の耐震性能を高めています。

 

・耐震

建物の構造を強固にすることで地震の揺れに耐えようとする構造。壁の中の柱と柱の間に斜めの補強材(筋かい)を入れたり、部材の接合部を金具で補強したりします。

 

・免震

地震の揺れを地面から建物に直接伝えにくくする構造。建物の基礎にゴムなどの免震装置を設置して、地面と建物が切り離された状態になります。揺れは免震装置によって受け流されるため、建物自体の揺れを小さくすることが可能です。

 

・制震

建物内部で地震の揺れを吸収する構造。ダンパーや重りなどで構成された制震装置が、建物自体に伝わってくる揺れを柔軟に受け止めて揺れを抑えます。

 

 

耐震等級3の家を建てるメリット

  • 大地震発生時のダメージが少ない

耐震等級3の家は、耐震等級1や2の家と比較すると、地震によって受けるダメージが小さくなるのがもっとも大きなメリットです。損傷が小さくてすむことで、そのまま住み続けられる可能性が高くなり、資産としても維持しやすくなります。災害時に家族の命を守り、避難生活を送るリスクも減らせるでしょう。

 

  • 住宅ローンの金利優遇を受けられる

住宅ローンを提供している金融機関のなかには、耐震等級3の家に対して金利を優遇する会社も少なくありません。低い金利で住宅ローンを借りられるのも、耐震等級3で家を建てるメリットです。

 

  • 地震保険の割引率が大きくなる

地震保険は耐震等級に応じて割引が受けられます。割引率は耐震等級1だと10%、等級2では30%ですが、等級3だと50%と大きくなるのが特徴です。

 

  • 売却時に高く売れる可能性がある

耐震等級3の認定を受けた家は耐震性の高さが証明されているため、資産価値が評価され、売却時に高く売れる可能性があります。

 

 

大切な家族と過ごす住まいだからこそ、耐震性能の知識を持つことは大切な要素です。

ご紹介したポイントを参考に、耐震性能が高い安全安心な住まいを実現してくださいね。