近年、平屋に注目が集まっています。
この記事では、平屋のメリットやデメリット、建てる際の注意点などを解説します。
◆平屋とは
平屋は、すべての空間がワンフロアある1階建ての住まいのことです。平屋と聞くと、昔ながらの日本家屋をイメージするかもしれません。しかし、近頃はデザインや間取りにこだわった平屋の住まいが増えています。上下階の移動が必要ないので、2階建以上の建物に比べて間取りの柔軟性が高いことが特徴です。耐震性やバリアフリーの観点からも、幅広い世代に支持されています。
◆平屋のメリット
メリット①バリアフリー
平屋には階段がなく、ワンフロアに全ての部屋が集約されます。転ぶ・落ちるといった危険性が軽減され、小さなお子さんや高齢者にも優しいバリアフリーな設計が可能です。高齢になると、階段の上り下りが大変なので2階の部屋を使わないという話もよく耳にします。平屋は高齢者でも住みやすく、より安全な生活を実現できます。
メリット②シンプルな生活動線
平屋なら平行移動のみで生活できるので、動線がシンプルで住みやすい点が上げられます。また、上下階の配管位置を気にする必要がないので、比較的自由な設計を可能としています。
また、1階と2階を行き来するといった上下移動がないので、洗濯や掃除、片付けなどの家事で上下に移動する必要がなく効率的。動線がコンパクトになり、家事負担も軽減できます。
メリット③家族の様子に目が届きやすい
生活がワンフロアで完結する平屋は、家族と顔を合わせる機会が増えるため、お互いの様子が分かりやすくなります。
2階建ての場合、子どもが帰宅後に玄関から2階の個室に直行してしまう、個室で過ごす時間が長くて様子がわからない、というケースもあります。その点、平屋はすべての部屋がワンフロアにあるので、自然と顔を合わせやすく様子もわかります。顔を合わせると会話が増えるので、コミュニケーションも取りやすくなるでしょう。
メリット④スペースを有効活用できる
2階部分がないため、屋根の形状に合わせて天井を高くつくることで家全体に開放感を持たせることもできます。屋根裏の空間を利用してロフトを設けて収納やベッドスペースを作る、屋根の傾斜を利用して勾配天井にして開放感を演出するといったことも可能です。
また、2階建て住宅の場合、一般的に階段やホールに必要な広さは4~5畳と言われています。平屋はこの階段が不要ですので、このスペースも有効活用できます。4~5畳のスペースがあれば、書斎や寝室など、さまざまな使い方が考えられます。
メリット⑤耐震性が高い
地震大国日本に住むには、家の耐震化は無視できません。耐震性を考える上で、建物の重さは重要です。家が重いほど、地震が発生したときの揺れは大きくなります。
その点、平屋は二階建てよりも軽量なので、耐震住宅と言えます。
メリット⑥メンテナンス費用を抑えられる
家は建てたあとも定期的なメンテナンスが必要です。定期的に掃除や補修をすることで家を長持ちさせることができます。コンパクトな 1 階建ての家は、2 階建ての家ほど掃除が難しくありません。また、業者によるメンテナンスの場合、2階建ての建物だと足場を組む必要がありコストがかさみますが、平屋ならその必要がなくメンテナンス費用を抑えることができます。
◆平屋のデメリットと注意点
デメリット①広い敷地が必要となる
ワンフロアに全ての部屋と設備をおさめる必要があるため、同じ延床面積の家を建てるなら2階建てよりも広い敷地が必要になります。
また、建築基準法により土地には用途地域と建ぺい率が定められています。用途地域では、敷地に対してどのぐらいの広さの家を建ててよいのかを建ぺい率で表していますが、例えば建ぺい率が50%の場合、平屋は土地の半分までしか家を建てられないことになります。
デメリット②日当たりや通風が悪くなる場合がある
周辺環境によっては、日差しや風が家の中まで届きにくくなる場合もあります。採光や風通しが確保できない場合、家の形をコの字型やL字型にする、勾配天井にして高い位置に窓を設けるなど、間取りの工夫が必要です。
平屋では採光の確保は大事なポイントなので、土地を購入する前に周辺環境を確かめておくことが重要です。
デメリット③建築費用が高くなる可能性がある
同じ延べ床面積の平屋と2階建てを比較した場合、平屋の方がほぼ2倍の屋根と基礎の面積を必要とするため、施工費用が高くなります。結果平屋は坪単価で比較すると割高になる傾向にあります。
ただし、平屋の場合は大きな足場を組まなくて済み、2階のトイレや洗面台などの住宅設備が不要なため、その分の費用が抑えられるケースもあります。
デメリット④プライバシーと防犯面の配慮が必要
1階のみの平屋は、道路や隣家からの視線が届きやすく、暮らしのプライバシーが守りにくい面があります。間取りをつくるときは、敷地周辺の人や車の往来状況を把握したうえで窓の位置やサイズを決めましょう。
また、防犯面にも配慮が必要です。家のまわりに、踏むと音が出る砂利を敷いたり、人感センサー付きライトを設置するのもおすすめです。
平屋を建てる場合は、メリットとデメリットをよく理解した上で、実際の生活をイメージしながら長期的な視点での検討を重ねることが大切です。
ご紹介したポイントを参考にしてみてくださいね。