家づくりで後悔しないためには、バランスの良い資金計画が大切です。そのために必要なのが家づくり費用のシミュレーションです。
この記事では、注文住宅を建てた場合にどのような費用がかかるのか、資金計画の立て方や費用を抑えるためのポイントなどを解説します。
◆注文住宅の費用をシミュレーション
注文住宅を建てる際の資金計画を考えるには、大きく「建築費用」「自己資金」「返済計画」の3つを前もって決めておく必要があります。
これらを決めていくために、下記の準備を進めましょう。
【1】家の価格帯・相場を知る
注文住宅を建てるためにかかる「費用の相場」や「坪単価の目安」を知ることから始めてみましょう。住宅金融支援機構が公表する「フラット35利用者調査」のデータが参考になります。
また、注文住宅の費用相場は、ハウスメーカーの坪単価を目安にすることもできます。坪単価とは、家を建てる際の費用が「1坪あたりいくらかかったのか」を計算したもので、「建物の本体工事費÷延床面積」で算出できます。
例えば、坪単価50万円の住宅会社で、延床面積40坪の家を建てた場合、
坪単価50万円×延床面積40坪=本体工事費2,000万円
という計算になります。これに「付帯工事費」や「諸費用」が別途かかるので注意が必要です。
【2】費用の内訳を知る
注文住宅を建てるための費用は「土地購入費」「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の4つに分けられます。
・土地購入費
土地を持っていない場合、土地購入費がかかります。土地代以外に不動産会社への仲介手数料、土地の所有者変更のための登記費用、地盤が弱い場合には、土地の購入費に加えて地盤改良の費用も必要です。
・本体工事費
本体工事費とは、基礎工事から家の骨組み、屋根や内外装、設備など、建物本体にかかる費用のことです。家を建てるためにかかる費用のうち約7割を占めます。
・付帯工事費
付帯工事費とは、フェンスや門扉、アプローチや植栽などの外構工事をはじめ、屋外給排水工事や解体工事費、地盤改良費など、建物本体以外にかかる費用のことです。家を建てるためにかかる費用のうち約2割を占めます。
・諸費用
不動産登記費用や設計料、住宅ローンの手数料、各種保険料、地鎮祭などの祭典費用、引っ越し費用など、多くの諸費用がかかります。
家を建てるためにかかる費用のうち約1割を占め、決して少ない費用ではないので、こうした費用も含めて余裕を持って資金を準備しておくことが大切です。
注文住宅の費用をシミュレーションする場合、坪単価と延床面積から本体工事費を計算した上で、この費用の割合から家を建てるための総額費用の概算が分かります。
【3】準備できる頭金・自己資金を考える
自己資金とは、注文住宅を建てる費用のうち「諸費用」や「住宅ローンの頭金」を支払うために用意する現金のことです。
家を建てる過程では、土地代、契約金、着工金、上棟金といった手付金を支払うタイミングが度々訪れます。そのため、諸費用も含めた自己資金を準備しておく必要があります。
自己資金の一般的な相場は、家づくりにかかる総費用の「25〜30%」程度となっています。
【4】住宅ローンの返済額を考える
住宅ローンを利用する場合、金利のタイプや返済方法、頭金の金額によって毎月の返済額が変わってきます。
住宅ローンの金利には、大きく分けて「固定金利型」「変動金利型」「固定金利期間選択型」の3つのタイプがあります。
【固定金利型】
借入れ全期間に渡って金利が変わらないため、借入時から完済まで契約時の金利で返済できます。毎月の返済金額が変わらないので返済計画が立てやすいのがメリットです。
ただし、変動金利型と比べると金利が高めに設定されています。
【変動金利型】
金融市場の変化に応じて半年ごとに金利が見直されます。一般的に、金利が変動しても5年間は月々の返済額は変わりません。金利が下がると返済額が少なくなるのは魅力ですが、金利の変動によって将来の返済額が変わるため、返済計画が立てにくいのが懸念点です。
【固定金利期間選択型】
「借入れから◯年間は◯%」というように、一定期間において固定金利が適応されます。金利の固定期間が終了すると自動的に変動金利に変わります。再度固定金利の選択もできます。金利の固定期間中は返済額を確定できますが、固定金利の期間が終了すると返済計画が立てづらくなります。
また、住宅ローンの返済方法には、元金と利息を合わせた一定の返済額を毎月返済する「元利均等返済」と、元金の返済額が毎月一定になる「元金均等返済」があります。
元利均等返済は、返済額が毎月一定なので返済計画が立てやすくなりますが、元金均等返済では返済が進むにつれて返済額が少なくなるので、元金を早く減らしたい方は後者がおすすめです。
◆注文住宅の費用を抑える方法
- 凹凸の少ない総二階にする
総建築費用を抑えたい場合、延床面積を抑えれば費用も抑えられます。また、凹凸があるほど費用が嵩みますので、凹凸が少ない総二階がおすすめです。総二階とは1階と2階がほぼ同じ形、同じ面積となっている住宅のことです。費用がかかりやすい屋根と基礎、外壁の面積を抑えられるためです。
- 間取りをシンプルにする
できるだけシンプルな間取りにして、間仕切りを減らすと費用を抑えられます。壁材や建具の費用を削減できるためです。ただし、間仕切りが少ない空間は空調効率が落ちてしまうため、快適性や光熱費への配慮が必要です。
- キッチンや洗面、浴室などの水まわりをワンフロアにまとめる
キッチンや洗面、浴室などを近い場所に配置すると、排水管の工事費用を抑えられます。家事動線にも良い影響があります。
- 外構費用を抑える
フェンスや植栽、アプローチといった外構費用を抑えることで、家を建てるための総費用を削減できます。
- 標準仕様とオプションを確認しておく
住宅会社によって標準仕様とオプションの内容が異なります。できるだけ標準仕様の範囲で家を建てることで費用を抑えられます。住宅会社を決める前に、標準仕様とオプションの内容を確認しておきましょう。
◆まとめ
注文住宅を建てる際は、どんな費用がいくらぐらいかかるのかを把握した上で、現実的な予算を設定することが大切です。
家を建てたことで日々の生活が窮屈にならないように、しっかりとシミュレーションを行い、家づくりを進めていきましょう。